★KAME's ROOM with ELS-02C★

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第568号「"宿命"初挑戦!高速レジストチェンジ」

今年の夏にOfficial髭男dism「Pretender」のエレクトーンレジスト作成&演奏にチャレンジし、今回「宿命」のレジスト&演奏にチャレンジしました。楽譜は月エレ2019年11月号に掲載されていたものを参考にし、楽曲もスマホでダウンロード。16ビートにのせ、ブラスがかっこいい1曲です。今回はあのブラスフレーズをなんとレジストチェンジによる演奏を試みることにしました。

●レジストチェンジにより演奏"させる"
 普段、レジストチェンジのタイミングは場面ごとに変えることが多いです。例えば、前奏、Aメロ、Bメロ、サビという風に雰囲気が変わるごとにレジストを変えていく…という要領です。時に、間髪入れずに変更させる時もありますが、頻度は低く、右フットスイッチによるシフトでも切り替えが出来る程の感覚の場合が多いですね。

 今回の「宿命」のエレクトーン演奏にあたって、試してみたことがあります。それが、レジストチェンジをレジストシーケンスに組み込み、1小節間に9回以上チェンジさせたことです。これは、各レジストボタンに特定のブラス単音を設定させたものを、9個用意し、それを16分音符間隔で高速チェンジさせることで、あたかもフレーズを奏でているかのような効果を得ることを目的としました。このような活用をしたことは、過去になく今回初めてチャレンジした事でもありました。

 当初、こういった活用は思ってもおらず、楽譜通り演奏するものとして、似たようなアカンパニメントパターンを選択しようと思っていました。しかし、譜面を眺めていてあることに気が付きました。それが、サビの左手のトップ音が終始「ファ」で固定されていたことです。「あ…これもしかして…」と、不意に簡単な音設定で上記の事を試してみた所、「宿命」に忠実なフレーズを得ることができました。「これは使えるかもしれない」と思い立ち、シーケンスに組み込んでいきました。

●難航する設定
 思いついたのはいいものの、実際にその作業の場面になると大変でした。まず発音するブラスの音をボイスエディット画面にて、打鍵している本来の音から特定したい音に音を移動させる設定を行います。「ブラス」を構成する音の基になるレイヤーは7個使用しており、その全てにおいて音階のデータ(=ノートシフト)を変更しなければなりません。同様の手順で「ド」「レ」等フレーズに必要な音階分設定する必要がありました。作業は腰が痛くなるほど地味であり、「これ…どうなるんかいのぅ…」と余計なことを考えていると、設定メモリを行き過ぎたり、どの値まで上げるか忘れてしまいまた最初から…と厄介な作業でもありました。

 やっとの思いで音作りを仕上げ、ようやく楽ができるかと思いきや。今度は、レジストシーケンスで壁にぶち当たります。レジストチェンジのタイミングが細かく、手計算によりチェンジタイミングを割り出し、原曲のフレーズに沿ったタイミングにあわせたチェンジ設定をする必要がありました。更にバンク間も行き来することもあったので、入力したものはいいもののバンクを間違えており、再度設定し直し…という失敗もありました。

●試走させてみる
 作業終盤になると、レジストボタンは潤沢に使い、バンクも"D"へ突入する等、情報量もいつも以上に多くなっていました。レジスト&リズムシーケンスもサビ部分だけは再度入力することは避けたいことから、リピート時に同様の箇所を演奏する際は、次のシーケンスへ冒頭より入力する等可能な限り作業時間短縮を図り、全ての作業を終えました。

 出来上がったシーケンスを試しに走らせ、鳴り具合をチェックします。スタートボタンを押すと、わぁ…!!レジストボタンが高速でピカピカと移動点灯します。まるで…イルミネーションみたい(*´▽`*)と確実に瞬時に移動するボタンをまじまじと見ながら思いました。「やっぱりエレは機械じゃのぅ…間違わんわ…」と感心しました。気になっていたフレーズも、許容範囲内の表現を再現しており、ひとまず納得しました。

●全てを演奏してみる
 上記のような初経験を踏まえ、レジストを組み終えました。そしてフルコーラス演奏をしてみます。ブラスがかっこよく鳴るイントロ、Aメロ…そして気になるサビへ。おぉお…!!原曲と同じフレーズじゃわ!!!と感動しました。作業は大変でしたが、こんなにも再現率が高くなるとは、自分でも驚きました。シーケンスはA~Cへ走り、無事演奏を終えることができました。

 今回のような高速レジストチェンジは作業がいつも以上にかかる作業でしたが、時間を費やした分、演奏効果は十分に得ることが出来ることを実感しました。この方法を使えば、より原曲の再現が高まる効果は期待できつつも、作業時間が多大にかかること、また打鍵する条件がそろわないと難しいということもあるかと思います。今後も、場面ごとにマニュアル演奏、アカンパニメント、そして今回のような方法も考えつつ、最適な演奏を楽しめたらいいなと思った「宿命」でありました。