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第553号「"AI美空ひばり"令和時代に天から舞い降りた歌姫」

大切な人が亡くなっても、もし何らかの形で再度会いたい…そう思ったことある人いませんか?そんなの無理だ、どうしようもないという声はもはや昔の言葉かもしれない。そう感じた番組でした。30年前に逝去した歌姫「美空ひばり」を最先端技術を活用して、歌唱させるという試みが行われた番組を拝見しました。

美空ひばりさん
 美空ひばりさんは今から30年前に体調を崩され逝去されました。当時、僕は幼稚園とかあのへんだったので生前の美空ひばりさんを意識して拝見したことは無いに等しいです。ただ、その後も「あれだけの歌手はもう誕生しないだろう」と言われているように、それだけの存在感を放つ"歌姫"だったんだろうと思います。事実、「川の流れのように」はファンでも無くても一度は聞いたことがある名曲ですよね。低音から一気に特定の高音へかけての響き、ジャズ、歌謡曲、演歌と幅広いジャンルもこなす唯一無二の声の持ち主であったことに納得です。

●令和時代に蘇らす
 そんな美空ひばりさんは今から30年前に病に倒れ逝去されました。僕も音楽に興味を持つころには既に逝去された後で、その生前の声を聴くことは一度もありませんでした。今でも「ひばりちゃん」と声援を贈るたくさんのファンがおられ、お墓参りにも行かれるそうです。

 番組では、「再度美空ひばりさんに会い、新曲を歌ってもらいたい」という強い思いから、人工知能AIを活用し、令和時代に美空ひばりさんを蘇らせ、ステージ上で歌唱してもらうというプロジェクトが発足しました。最先端技術で果たして美空ひばりさんと出会えることはできるのでしょうか。その協力にあたっては、ボーカロイドの名で有名であり、また僕も日ごろエレクトーンでお世話になっている「ヤマハ」がリードして開発していく、というものです。

 既に亡くなっている人物を蘇らせる?しかも歌わすの!?そんなこと本当にできるのか…???と半信半疑の思いを持ったまま、番組は進みます。AIは、美空ひばりさんの過去の膨大な歌唱データや、テープに吹き込まれた声を教師データとし、たくさんの情報を与えることでその人の歌い方の癖や無意識に行う動作等を学習(=ディープラーニング)するそうです。そういった難しい技術を用いて、どんどん美空ひばりさんは天国からこの世に舞い降りてくる予感がしてきました。

●レリゴーを歌うひばりさんとAIの光と影
 特に番組内で驚いたのが、2014年にヒットした有名曲「Let it go」を、AI技術を使って美空ひばりさんが歌唱したサンプルデータを聞いた時です。当然、この曲が出来た当時は既に美空ひばりさんは亡くなっているので、歌えるはずはありません。ですが、AIを活用して再生された声色は確かに聴いたことのある声で「ありの~ままの~姿みせるのよ~♪」とキレイな声で歌ったのです。…!!ひばりさんだ!!こんなことが出来るなんて、信じられません。

 亡くなった方を蘇らせることについては賛否両論あるみたいです。倫理問題にもあたるとの記事もみました。またこれらの技術は悪用されることも否定できません。自分が言ってもいないことを、この技術を使うとあたかもその人が発言したような声データも作成できる可能性があるのです。しかし、今回のプロジェクトは「再度美空ひばりさんの歌声を"AIでもいいから"聞きたい」の思いが強かった事、その歌声を聴きたい願いを実現したい強い思いが、実現に向けて加速させたんだと思います。

●AI美空ひばり「あれから」の歌唱ステージへ…
 多くの難題に悩みながら一つずつ解決していき、遂にコンサート当日となりました。それまでの膨大なデータ処理、技術者の諦めない努力はもちろん、生前ひばりさんを支えた、ステージ衣装担当や、ヘアスタイル担当、歌手の天童よしみさんらの多くの方々の協力。また、歌詞は、あの秋元さんが作詞されました。「"あれから"という言葉がキーワードになって、行ったり来たりしている。」と一言。期待と不安を胸に、静かにホールは暗闇に包まれます。

 そこへふわっと現われたのはスクリーンに映し出された令和のAI美空ひばりさんでした。ピアノ、ギター、ストリングスの伴奏でイントロが流れた曲のタイトルは「あれから」です。真っ白い衣装を召されたひばりさんは、ゆっくりと歌い始めます。「♪夕日がまた沈んでいく あっという間の一日~」その声は、聴いたことのあるひばりさんの声でした。こんなにも近い声が再現できるの!?という驚きと共に、まるでSFのような時間を過ごしているかのような不思議なひと時が始まります。

 …涙!?そうなんです。なんででしょう、涙がポロリと頬をつたうのです。「♪あれから どうしていましたか?私も歳をとりました」サビで観客一人ひとりを確かめるように目を配るひばりさん。観客席もハンカチで目を軽くぬぐう人もいました。また、この曲の中盤には語りもあり、ひばりさんは「お久しぶりです」と語られました。本物のような…でもそうであってほしいような…あまりの感動にまた涙が。しかも、転調したら更に気分が…あぁ両目から…!!

 全て歌い終わると軽く投げキッスを観客にされ、静かにスーッ…と消えていかれました。この4分少々の時間は今まで体験したことのないような時間でした。みんな涙。「ひばりちゃん!!」と思わず声をかけたという声や、神々しかったという声も。みんなの「もう一度、ひばりさんに会いたい」という強い思いがきっと天に召されたひばりさんご本人さんに届いたからこそ実現できたんじゃないかなと思います。

●♪あれから
 …という番組でした。最初はAMラジオで「あれはえかった!!」という声を聴いたことや、指原さんも「涙が出た」という声を偶然に聞いたこともあり興味半分で再放送を視聴しましたが、「これは涙出るわ…」と納得しました。それ以来、「♪あれから」が頭の中をぐるぐるしています。とてもいい曲ですね。美空ひばりさんがもし今も生きていたらきっと、満面の笑みで歌ってくれるんじゃないかな~と思いました。人生いろいろあるけれど、この曲に出会えてよかったと思えたこと、そして生かされている今を精いっぱい前進していきたいと思いました。ぜひ、みなさんも♪あれからきいてみてくださいね。